朱野帰子 「対岸の家事」

専業主婦が主人公の小説を読みたいと思って探した本が、「対岸の家事」。

面白いなあと、どんどん読んだが、

最後の最後に、受け入れられない結末が待っていた。

ネタバレになってしまうけど、

母親が病気で亡くなって14歳から家事一切をせざるを得なくなった主人公が、

家事を押しつけた父親を恨んで実家と疎遠になるのだけど、

和解を匂わせる終わり方になってた。


で、私は、「ふざけるな」と言いたくなるような嫌な気分になった。

主人公の父親は、家事一切を押しつけるという、娘を亡くなった妻同様の扱いをしていた。

虐待なんじゃないのと思いながら私は話を読んだ。

なのに、まさかの「和解か」という結末。

そんな、簡単に和解できるものかと怒りを感じた。

虐待された子は、虐待した親の心情を理解し和解するものだと言っているかのように感じて吐き気がした。

「専業主婦」をテーマにしたストーリーは面白かったが、

虐待についてのストーリーは駄目。受け入れられなかった。


子どもから「子ども時代」を奪ってしまう親を許す展開は受け入れられない。

虐待した親が後悔する展開だったら受け入れられるのになあ・・・。


親子は仲よくすべきという展開は、話の最初の方からあったなあ・・・。

子育てをしたら、自分の親が自分に何をしたかが分かってしまうというのには、

「そうだなあ」と思った。

なので、自分だったら子どもに絶対にしないと思うわけだけど、

それって、和解とは違う。

親を許さないまま、「そういう人だ」と思いながら心の距離を置いて付き合うというなら分かる。

・・・わたむし(妻)