眉村卓 「自殺卵」

図書館で小説の棚の所へ行き、

眉村卓」を探した。

お持っていたより本が少ないと思った。

眉村卓は多作なのに・・・。残念。


文庫本の棚にも「眉村卓」の本はあったが、

短時間で読めそうな気がしなかったので、

小説の棚にもどり、短編が収められているのを手に取った。

そして、本のタイトルになっている話だけを読んだ。


それが「自殺卵」。

明るい話じゃなさそうだと予想し、

棚の近くの椅子に腰掛けて読んでみた。

クラーい話だった。


「宇宙の意志」と名乗る存在が手紙を一方的に送りつけてくる。

内容は、自殺卵という自殺に役立つ装置を置くから使って死んでほしいというもの。

読みながら、「それって、犯罪でしょ」とツッコミ入れた。

が、この話で警察は、自殺卵を回収するだけで真相究明をしないし、

国家も何も対策しない。


ニワトリの卵のように見える自殺卵は、蓋が空くようにできていて、

蓋を開けると針が出てくる。

針で他人を突いても何も起こらないが、自分に刺すと死んでしまうという自殺装置。

針の効力が切れるまで、何人でも自殺できるというゴキブリの殺虫剤のようなものだ。

主人公にも手紙が三回送りつけられ、自殺卵も置かれるが、

こんなことで死んでたまるかと生き延びようと頑張る。


自殺卵のせいで、人はどんどんいなくなり、

どんどん不便になる。

停電は当たり前のように起こり、電車も減る。

人手がなくて、草は伸び放題になる。


具体的な結末がないまま話は終わる。


「死んでほしい」と言われても反発して生きている主人公は、

定年退職した老人だ。

若者はどんどん死んで居なくなり、老人ばかりになる。

話として終わってなくても、

ハッピーなどんでん返しはないなあと思った。


「自殺卵」の話から思い浮かんだのは、

ネットでの嫌がらせだ。

「死ね」「消えろ」「働けなくしてやる」

「無能」「ぶっ殺す」などと、

顔も名前も知らない人が悪意を書き連ねる。

警察に相談しても、「何かあったら来てください」と言われるだけ。

助けてくれない。


「死んでくれ」などと悪意を向けられるのは、とても怖いことなんだけど、

悪意を向けられる怖さを分かってくれる人はいない。

誰かから死を期待されるのは恐ろしいことだ。

で、自殺したとしても、相手は罪に問われないらしい。


などと、私は過去に自分にふりかかった災難を思い出した。


さらに連想は広がった。

皇室の眞子さまの結婚問題だ。

マスコミで、小室さんは眞子さまの結婚相手にふさわしくないと言われ続けている。

それが、私には、小室さんの存在を消したいと願うような、死を望むかのような意味に聞こえる。

「死ね」とは言ってないが、

それに近い気がする。

「ふさわしくない」=「居なくなれば良い」と聞こえる。

皇室に近い人たちは残酷なことを言うものだなあと思う。


もしも小室さんが事故に巻き込まれるとか、

自殺するとかしたら、

「死んでくれて良かったね」と、安心する人がいるんだろう。


他人の死を願う人は、「自殺卵」を送りつけたくなるだろう。

自らの手を汚さず、相手が自由意志で死を選ぶのだから・・・。


眞子さまの結婚相手として小室さんはふさわしくないと言われているが、

ならば、ふさわしい人物をテレビで紹介してほしい。

イラストでもいいから。

で、欠点のない「神様」のような、もはや人間ではない存在との結婚が眞子さまにふさわしいのだと

言って、欠点のある生身の人間との結婚は許さないことにしてしまえ。


眉村卓の「自殺卵」は、嫌な話だったが、

今起こってることと無関係ではないと思った。

誰かが誰かを疎ましく思い、

攻撃している。


・・・わたむし(妻)