女中がいた昭和  小泉和子

昔の家事について知りたくて、図書館の中を歩いていると、

女性問題のコーナーに「女中がいた昭和」という本があった。

この本に、羽仁もと子さんの「女中訓」が紹介されていて、

昔の家事についても書かれていた。


今は、家事は家族がこなしているが、

昔は、学校を出たばかりの少女がわずかな給料で、

住みこみで女中をするのは珍しいことではなかったそうだ。

中流以上の家には、当たり前のように女中がいた。

羽仁もと子の「女中訓」は、女中のマニュアル。

理想的な女中の姿が紹介されている。


女中は、戦後には「お手伝いさん」と呼ばれるようになる。

女中時代を振り返って、よい思い出として語る人もいるが、

性的な虐待を受けて妊娠し、厄介払いされたり自殺に追い込まれる女中も珍しくなかったと書かれていた。


戦後の占領軍家庭のメイド職も紹介されていた。


本の中で印象に残っているのは、戦争で世の中が節約を呼び掛けるようになって、

女中を雇うのは贅沢だと非難されるようになり、女中を故郷に返したということ。

戦争によって、中流以上の裕福な女性たちの生活は困難なものになったのだと思った。


本に関係のないことだが、ざっと本を見てみて、ふと、家事全般をこなす主婦は昔で言うところの女中に近いと思った。

・・・わたむし(妻)