奇跡の林檎

阿部サダヲ菅野美穂がリンゴ農家の夫婦を演じている。

リンゴに農薬を散布すると、菅野美穂演じる妻は体調を崩す。

じゃあ、農薬止めればよいのではないかと考えた夫は、無農薬にチャレンジする。

が、病気が発生したり、ガの幼虫に葉を食べられたりして、リンゴは悲惨な状態が続き、生活は困窮する。

次第に隣人に相手にされなくなり、電気も止まるような生活になってしまう。

車を売り払い、電気もつかない生活を映像で見ると、決して「昔は良かった」とは言えないと思った。

遠い畑へ二時間かけて歩かねばならないし、夜の明かりはランプしかない。「かまど消し」と言われ、嘲笑われる夫は、精神的に追い詰められ、土の中に沈んで行ってしまう幻覚を見たり、自分が死ねば家族は救われるという間違った考えに囚われて自殺を試みる。

明るく楽天的な性格の人物が死にたいと思うようになる様子は、とても可哀想だった。

「奇跡の林檎」というタイトルだからハッピーエンドだと思って見るのだが、誰も試したことがないリンゴの無農薬栽培を実現する過程は、とても過酷で孤独。先が見えない状態は、電気のつかない夜のように真っ暗だ。

この映画では、暗い夜が長く続き、見ているのか辛く感じられた。


試行錯誤は無駄にならず、花が咲き実る。家族は幸せになるストーリーなのだが、一歩間違えば主人公は死んでいたわけだから、怖い映画でもあると思った。不安定な人は見ない方が良いかもしれない。


・・・わたむし(妻)