映画「新劇の巨人」に足りないものは・・・

映画「進撃の巨人」では、エレンが巨人化する前に言う「駆逐してやる」というセリフの前に真っ暗な闇があった。

真っ暗なスクリーンに「くちくしてやる」というセリフが響く。


後で思い出すと、漫画やアニメで「進撃の巨人」を知らない人には分かりにくいセリフだと思った。

「駆逐してやる」というエレンのセリフは、漫画やアニメでは繰り返し出てくる。

母親を巨人に食べられ、それを目撃したエレンは巨人を母の敵だと心に刻み、食事をしているときにもエレンは食べられる母親を思い出してしまう。

また、漫画とアニメでは、少年期のエレンが大人数人を惨殺した場面がある。正当防衛だとして罪には問われなかったが、エレンは何の躊躇もなく人間を殺害したのだった。映画では、エレンが平気で人を殺せる人間だとは描かれていない。

平易な言葉で言わずに「駆逐してやる」と言うのは、殺意をオブラートで包んでいるからだと思う。

ストレートに言うなら、「殺してやる」だろう。映画に一つ文句をつけるとしたら、エレンの殺意が殺意として描かれていないことだ。

漫画やアニメでは、エレンの狂気に満ちた表情が描かれていたし、冷徹に人を殺す場面があった。映画にはそれがない。

・・・わたむし(妻)