ぼくのメジャースプーン 辻村深月

メモに書かれたタイトルの本、「ぼくのメジャースプーン」を読んでいる。

ラジオではどんな紹介がされていたんだろう。夫が聴いた番組は早朝のものだから、私は聴いていない。



この小説の主人公は、小学四年生の男の子。「ぼく」は不思議な能力を持っている。

学校で飼育しているウサギがバラバラにされて殺され、最初に死体を見つけた女の子がショックのために

PTSDになり登校できなくなる。心が麻痺して、事件の前とは別人のようになってしまう。

「ぼく」は自分の持つ能力を使って犯人に復讐することにした。

「ぼく」と同じ能力を持つ「先生」のもとへ通って、能力について考察し、

復讐とは?人の悪意とは?反省とは?と考察を深めていく。



この「能力」とは、囁きかけた相手に呪いをかける能力だ。

Aをしなさい。さもなくばBになる。とか、

○○したいならば、Aをしなさい。というように

相手に条件を提示して、必死にAに取り組ませるというものだ。


特殊な能力であるから、単なる囁きではなく、直接脳へメッセージを送り

無意識に働きかける。だから、眠っている相手に囁いても呪いをかけることができる。




○○したいならば、Aをしなさい。・・・・○○が囁かれた者にって恐怖を感じることであれば

必死にAに取り組む。


この小説では、「呪い」「縛り」を特殊な能力として説明している。が、このような呪いを

多くの人が無意識に行っている。


Aをしなさい。さもなくばBになる・・という呪いの場合でもそうだ。

Aに取り組んでも、取り組まなくても罰を受けるという二重の縛りもある。

それがダブルバインドと呼ばれるものだ。ダブルバインドについても小説の中で説明されている。


また、人の悪意についての記述も多い。

ウサギを毎日世話して可愛がる気持ちとは全く正反対の、

ウサギを殺して楽しむ人間の悪意を見つめる記述だ。


ある学校の豚を飼育して食べるかどうかを考えさせるという食育の授業についても記述されている。



そして、自分の大切な友だちが心の病にかかり、それを見守る苦しみも描かれている。


大事な友だちが登校できなくなり、そればかりでなく笑顔も言葉もなくしているのを

ただ見守るしかないという記述が、とても痛々しい。


まだ、半分しか読んでいないが、全部読んでから感想を書くと

ネタ晴らしをしてしまいそうなので、途中の感想を書いておく。・・わたむし(妻)