夫の彼女 垣谷美雨

夫の浮気を疑う主人公と浮気相手と思われる若い女性が、

入れ代わる話。

入れ代わってお互いに相手の気持ちを深く理解する。

話の始めの方で、主人公は夫の浮気を許せないと思っているのに、

入れ代わり後は、相手の人生を自分の人生のように慈しみ、

大切にしようとする。

憎しみは、相手を理解すると小さくなっていくようだった。


いろいろ詰め込まれた話だった。

子供同士のいじめ、正規職員と非正規職員との格差、

嫁姑問題など。


また、この本にも、「ニュータウンは黄昏て」のようにクズ男が登場していた。

「夫の彼女」に登場するクズ男は高校生。

中学生の後輩女子生徒からお金をだまし取って遊んでいる。

容姿に自信のあるそいつは、自分に恋する後輩の心につけこんで、

友だちのバイクを壊してしまったからなどと嘘を言い、お金を出させる。

女子生徒はお年玉を全部失い、家のお金にまで手を出してしまう。


正規職員と非正規職員との格差については、読みながら怒りを感じた。

主人公は学童クラブでパートをしているんだけど、掃除などを自分よりずっと若い正規職員に命じられている。

そういう職場での上下関係、嫌だなあと思った。

この話では、非正規職員を使い捨て可能な道具のように描かれていた。

学童クラブの正規職員もクズとして描かれていたのかもしれん。


今回の読書でも、本筋でない所に気をとられたなあ。

どうしても、ゲスな人間や格差に気持ちが行ってしまう。

・・・わたむし(妻)