ニュータウンは黄昏れて 垣谷美雨
バブル期に中古の分譲団地を購入した家族の物語。
お金についてのエピソードがたくさんあった。
お金について、賃貸暮らしの私は、あまり感情移入できなかった。
こいつ、何なの?と思ったのは、黛環という男。
代々地主の家に生まれ、家賃収入だけで裕福に暮らせるのだから、
やりたいことがあれば、いくらでもやれる恵まれた環境にいるにもかかわらず、
打ち込む仕事もなく趣味もない。
友だちもいない。
女性につきまとうストーカー。
住宅ローンや教育ローンで苦しんでいる人が欲している「お金」を
クズのような黛はあり余るほど持っている。
世の中って、うまく回らないものだなあと思った。
お金がなくて苦しむ人がいる一方で、
お金があっても黛のように不幸な人もいる。
せっかくその両者が出会っているのに、ハッピーにならない。
黛が、腐っているから。
琴里は、大学卒業後、就職がうまくいかずバイトして教育ローンを返済している。残額は500万円。
琴里と交際しはじめた黛は、教育ローンを代わりに一括返済するのだが、
琴里から別れを切り出されると黛は琴里に返済を迫る。
話の本筋は、黛じゃないけれど、
クズの黛が気になってしょうがなかった。
自分の成長に関心がない黛にイライラしつつも、
不幸だなあと思った。
・・・わたむし(妻)