あなたのゼイ肉落とします 垣谷美雨

図書館に映画(ハル)のサウンドトラックを探しに行った。

視聴覚資料の棚をじっくりと眺め、

映画のサウンドトラックばかりが並んでいる棚を見つけたが、(ハル)はなかった。

手ぶらで図書館を出たくなかったから、小説が並ぶ棚をぶらついた。

なにか、面白そうなタイトルはないかなあ・・・。

ぶらついていると、「あなたのゼイ肉、落とします」というタイトルを見つけた。

ゼイ肉をたっぷり身に付けた自分にぴったりだと思った。

垣谷美雨という作家の小説のようだ。

面白そうと思い、借りた。


大庭小萬里というダイエットトレーナーが個別指導する話。

主人公は指導を受ける人の方。


ゼイ肉をたっぷりまとってしまった私が共感できる話だと思った。

太っている女性を、同じ女性が下に見ているという内容に、

だから、みんなダイエットに無関心ではいられないのかと納得した。

それにしても、女性が女性に、「美しい」「そうでない」とレッテルを貼り、

名前でなく「美しいほう」「そうでないほう」と呼ぶ様子はグロテスクだなあ。


ネットのやり取りでは、姿形が見えず、文章で表現されているが、

文章を読んで「頭が良い」「悪い」というレッテルが貼られたりする。

そういう評価を思い出させる内容だなあ。


文章から、「あなたはゼイ肉だらけだ」なんて言われたら、

心から悲しくなるし・・・。

悲しんでいる様子を見て嗤う人もいる・・・

なんてことを思い出す話だったけど、

ハッピーエンドだから、まあいいか。

面白かった。

4つの短編がこの本に入っているのだけど、

最後の話が一番好きだ。

この話にも、グロテスクな嫌な人間の一面が書かれているが、

主人公がとても素敵だ。

・・・わたむし(妻)