モップの精と二匹のアルマジロ

近藤史恵の女性清掃人探偵シリーズ「モップの精と二匹のアルマジロ

ネタバレになるけど、この話では性的少数派が登場する。

性欲が全くないAセクシャル。

この本で、私は初めて知った。

自分は「普通ではない」「みんなと違う」と思う壁があるAセクシャルの人物は、

容姿端麗で感じが良く、男性からも女性からも好感を抱かれる。

上司から何度も見合いを勧められ、苦悩する。

男性にも女性にも全く性的な関心がないのに、モテるから困る。

こんな風に書くとコメディのようだが、

この話では、全く笑えない深刻な内容。


読みながら、普通って何だ?という疑問が湧いた。

最近話題になった「LGBTは非生産的」という国会議員の言葉を鵜呑みにするなら、

この本の登場人物は死ななきゃならんだろう。

カミングアウトもできず、人知れず、事故を装って死ぬしかないだろう。


「モップの精と二匹のアルマジロ」を読んだら、

自分は普通ではないと自分で自分を切り捨てず、

自由に生きるヒントが得られると思った。


ただ、内容は重く、読後感はスッキリしない。

ハッピーエンドじゃないから。


・・・わたむし(妻)