お金

最近、なかなか寝付けなくて困っている。

布団に入って目を閉じて、寝入るのに1時間くらいかかっているようだ。

ただ、ボーっとしていると、あんまり思い出したくない古い記憶が蘇ることがある。


お金にまつわる苦労を思い出した。

大学を卒業して、公務員として就職し、20代の終わりに結婚した。

この結婚は数年で駄目になったんだけど、その原因の一つが金銭問題だった。

当時、給料は高くなくても安定していたから、お金の苦労をするなんて思ってもみなかった。


断片的に思い出したことを繋げてみよう。

アパートを私の名義で借りた。住居手当を受けるために。

家賃の半分の住居手当を受けることができた。

日々の生活費は、ほとんど私の収入で賄っていた。

なぜか当時の夫は私に給与明細を見せてくれず、数万円くれるだけだった。

お金についての話し合いができないまま日々は過ぎた。


ある日、当時の夫の母親が、「お金の工面をするのに名義を貸してほしい」と言い、

考える時間もなく、「嫌です」と言うこともできないまま、

銀行員が家へ来ることになった。


私の知らない所で話が進んでいて、書類にサインをして判子を押すだけ。

私は2000万円の住宅ローンの保証人になってしまった。


このことを、忘れたかのように暮らしていたが、離婚してからも再婚してからも、

ずっと、心の奥に「それ」は潜んでいて、お金について落ち着いて考えることができなかった。

恐怖感はいつもあったが、保証人になったことを無意識に押し込めていたから、

その恐怖感は、訳の分からない恐怖感だった。


お金について考えると、決まって嫌な気持ちになっていたのは、

忘れたことにしていた借金の記憶が原因のようだ。


二十数年前、あのとき、「私は保証人になるの、嫌です」と言えていたらよかったのにと。

今さらながら、悔しく思う。

「実家の親に相談してもいいですか」と言えていたら、

嫌々サイン捺印をすることもなかっただろう。

本当に悔しい。



寝る前に、昔の嫌なことを思い出し、今の自分として考え直す。

日々、節約して堅実に暮らそうとしているのに、

常に恐怖や罪悪感に苦しむのは、自分のせいではなく、

過去に借金を強いられたからだ。

自分の子どもに同じ経験をしてほしくない。

だから、時間をつくって私の失敗談として、ちゃんと話そう。


・・・わたむし(妻)