肌がボロボロで外出したくないという気持ち

「行きたくない」

と娘が言うので、理由を尋ねると

肌がボロボロだからという。


「そんなことでドタキャンせんほうがいいよ。他人の顔をまじまじと見つめるような人はいないから大丈夫」

と私が言うと、

娘はマスクで顔を隠して出かけた。


肌の調子が良くても悪くても、気にしながらもやるべきことをやった方が良いよと私は言うんだけど、

そのときの気分でドタキャンしたくなる気持ちは、少しは分かるような気がする。

でも、肌がボロボロだから行きたくないというのは、良くないと思う。


昔、地下鉄とバスを乗り継いで通勤していたころ、さまざまな通勤客を見た。

中でも時々思い出すのは、顔を火傷した男性。

彼はスーツ姿だった。


それよりも昔、顔の半分を火傷した幼馴染がいた。

彼女は幼い頃、掘りごたつで眠っている間に落ちて、

こたつの火で顔を火傷してしまったと聞いた。

確か、幼稚園の頃、彼女のお母さんが授業の中で話してくれたと記憶している。

小学校に入学して、他の幼稚園や保育所から合流した子たちの中に、彼女を酷い言葉で侮辱する子たちがいたが、普通に接する子の方が多かったと記憶している。

その子たちが彼女をからかう様子を思い出すと、今でもむかむかと腹が立つ。


それにしても、人はなぜ意地悪をするのだろう。

小学1年にして、酷い意地悪をするわけだから、

意地悪という「悪」を人間は本能として持っていて、

自分と違う特徴を持つ者を傷つけ排除したりするのかなと思う。


肌がボロボロだから行きたくないと言った娘は、もしかしたら、

人間の意地悪さを恐れているのかもしれん。


けれど、肌の調子の悪い女性に、

わざわざ「肌、ボロボロね」などと指摘してくる人がいたとしたら、

指摘するその人の方が、ボロボロやなあと思う。

意地悪いから、表情は美しくないだろう。


・・・わたむし(妻)