阿久悠物語

日テレ系の番組は見ないと決めていたが、

夫が阿久悠物語を見たいと言うので、24時間テレビ中のそのドラマを見た。


ドラマが始まる前、スケートの羽生選手が登場した。

小児喘息を患っている少年は羽生選手に憧れていて、

同じく、喘息持ちの羽生選手が少年を励まし、スケートも指導するというコーナーだった。


喘息は番組で取り上げるほどの重病なのかと、少し驚いた。

私も、働いていた頃に喘息で苦しんだことがあったが、

今は何ともない。


咳が止まらないというとき、吸入しても楽にならないし、

喉が真っ赤に腫れて一か月くらいは痛んだ。

今は不思議と何ともない。

仕事を辞めたら治ったみたい。


24時間テレビでは、喘息は一つのテーマだったのかな?

よく分からないままドラマを見始めた。


ドラマでは、阿久悠の息子さんも小児喘息と描かれていた。

作詞家として活躍する阿久悠は、二か月も家に帰らないほどの忙しさ。

仕事に没頭し、子どもとの触れ合いはほとんどないような描かれ方だった。

喘息の苦しさは、少しも描かれていなかった。


そういえば、喘息持ちという羽生君は、喘息の少年選手に、

喘息があるのが普通のことと言っていたなあ。

ドラマでも、母親は、「薬を飲んだから大丈夫、大丈夫」と言っていた。


ドラマの阿久悠の妻は、おおらかで動じない人物のようだった。

私が見たことのある母親は、ドラマとは真逆で、喘息の子を抱えて困りはてていた。

私がアレルギー外来で見かけた母親は、看護師に叱られていた。

子どもが薬を飲みたがらないという悩みを打ち明けた母親は、みんなが見ている中で、

看護師から、子どもが嫌がっても飲ませるべきだと叱られていた。

困っているのに叱られるなんて、とても気の毒だった。


24時間テレビのドラマでは、薬を飲ませる苦労は描かれていなかった。

「大丈夫」「あなたは大丈夫」と、阿久悠も妻に励まされていた。


根拠のない「大丈夫」という言葉が救いになると言いたいドラマなのか?

いや、そんなドラマじゃないだろう。

私は、ドラマのテーマがよく分からないまま最後まで見た。


スター誕生という番組作りがテーマ?

違うよね・・・。


小児喘息?

違うよね・・・。


昭和という時代がテーマ?

阿久悠という人物?

阿久悠をとりまく人間関係がテーマ?


何がテーマだったんだ?

・・・わたむし(妻)