永遠の0

空中戦、

体当たりして敵機を落とす様子、

若者の死の上に生きながらえていると苦悩する主人公の様子

なぜか、前に読んだスカイ・クロラシリーズを思い出す場面が多かった。


スカイ・クロラシリーズに、若い戦闘機乗りの死を見ることの多い戦艦の搭乗員が自殺する話がある。

若者が大人たちに消費される話だ。


「永遠の0」で、特攻がテロかどうかという議論があった。

主人公は、テロではないと言っていた。

私は、テロだと思う。


家族を守りたいという願いを強く持つ主人公が、ラストで笑みを浮かべながらアメリカの船に突っ込んで行く様子は、私にはテロリストに見えた。


昔と今に共通することがあるとしたら、若者や子どもが大切にされないということだと思う。一部の富裕な人たちは特別で、庶民はその時々の政治や利益追求のためのコマにされてしまう。

家族を大切にしたいと思ってもできない人もいる。

この世はそういうものだと諦めている人もいる。


もしも、特攻が人の命を無駄に消費したと反省するのなら、もっと戦争特集番組などでとりあげてみんなで話題にしたら良いのにと思う。誰がどんな考えで立案したか話題にすれば良いのに。


「永遠の0」の主人公は、あからさまに軍部を批判してはいないし、生きて帰りたいと言いながらも結局は特攻を志願する。なぜ?

アメリカ兵にも家族がいるのに、笑って突っ込んでいけるのは、なぜ?

家族を守ることは敵を殺すことなのか?

礼儀正しく丁寧な言葉で話し、仲間に優しいのに、なぜ敵を殺すことに戸惑いがないのか?

見終わったら疑問が湧いて、ちょっと嫌な気分になった。

家族愛を描いているから心を揺さぶられたが、家族や仲間を愛せる人が躊躇なく人を殺せるのが恐ろしい。

・・・わたむし(妻)