クレイドゥ・ザ・スカイ
この話には少女・少年のまま老化しないキルドレという人間が登場する。キルドレは肉体的には若いままだが、心は混とんとしていて自分が何者であるか分からない。与えられた空軍パイロットという仕事以外の生きる道がない。
戦争をしなくてもよい世界になったが、ショーのように空中戦をし、戦果が人々に知らされる。
スポーツでは殺し合いをしないが、戦争だから人は死ぬ。
この戦争ショーで戦っているのがキルドレ。
生きる喜びはなく、空中戦のときに生きている実感がある。
そして、同じ苦痛を知るキルドレに銃で撃たれるのを期待している。
生きることよりも死ぬことに興味を持っているのがキルドレ。
年老いるのが嫌だと世の多くの人は言うけれど、キルドレのように老化しない体になってしまったら、
肉体を傷つけることや死ぬことに憧れをもってしまうのか、先日の高校三年生の死に方のように、十八歳になったら死にたいと願うような思いに共感したりするのかな。
ちょっと危ない物語だと思った。
・・・わたむし(妻)