満州からの帰国

浮羽の実家へ行き、掃除を手伝ってきた。休憩中に、母親がどのようにして満州から帰ってきたのかと尋ねてみた。
た。


満州国が建設され、母の父(私の祖父)は家族と共に満州国へ行った。職務は警察官。

その時すでに長男がいたが、長男は浮羽に留め置かれた。家の跡取りだから満州へ連れて行かなかったという。

長男は浮羽の地で両親と離れ、祖父母と暮らした。満州へ行った親は浮羽へ仕送りした。

満州と浮羽という二つの地に別れながらも連絡をとりあいながら暮らしていた。

母の父は署長にまでなったそうだ。母は北京で生まれたそうだ。

が、浮羽で暮らしていた長男は事故で亡くなった。農業用水を貯める堤の取水口に落ちて頭を打ったという。具合が思わしくないと満州へ連絡が行ったが、長男の死に目に会えなかったという。

家の跡継ぎが亡くなり、今度は長男を養育していた母の祖父(私の曽祖父)が亡くなった。それを機に母は、母親、兄弟たちと一緒に帰国したのだという。戦況が悪くなってしまう前に帰国し、浮羽の地で終戦を迎えた。そして、父親と年長の姉が帰国するのを待ったという話だった。

戦後の混乱した状況での帰国であれば、もしかしたら幼かった私の母はどうなっていたか分からない。

・・・わたむし(妻)