午後の曳航
ふと思い出したんだけど・・・
子どもの頃、テレビを見ていたら、話題になっている洋画が紹介されていた。
それが、「午後の曳航」。
「えいこう」の意味が分からなくて、国語辞典で意味を調べたからか、映画のタイトルを覚えている。
曳航とは、船で船を引っ張って移動させること・・だったかな。
洋画の紹介として思い出せるのは、
三島由紀夫の作品を映画化したということと、
この映画に登場する少年たちが猫の解剖をしたということ。
美しい海が見えるところに住む少年たちが、猫の解剖をしている・・・「午後の曳航」
という形で記憶している。
子どもの私は、猫を殺して解剖している少年たちが美しく描かれていることに違和感があった。
どんな作品なのか知っておく必要があると思い、ネットで調べた。
主人公の少年は、母子家庭。母親は船乗りと再婚する。少年は船乗りである新しい父に憧れるが、
船乗りを辞めて良き父親になろうとしていることに、ヒーローが凡人になったかのような幻滅を感じる。
主人公は、同じ年齢の少年たちとグループを作っている。そこにはリーダーがいる。
リーダーは大人を憎んでいる。猫を解剖し、心臓を取り出し、心臓こそが完璧な存在だと言う。
少年たちは、リーダーに感化されている。
少年たちは、堕落した大人を完璧な存在に戻してやるために、猫と同じことを実行する。
つまり、父親として慕う気持ちが芽生えてきたが、理想の父親でないと幻滅し、幻滅感を回復させるために
子どもが新しい父親を殺す・・・という話。
原作を読めば、ちゃんと作品について分かるのだろう。
ネットで読書感想を探すと、多くのファンがいると分かった。
主人公に共感する人はたくさんいるのかもしれない。
猫の解剖から、「午後の曳航」を思い出しただけだ。
・・・わたむし(妻)