「更年期少女」 感想

子どもの頃に出会った少女マンガのファンで居続ける・・・大人になっても楽しみ続ける・・・
 
同じ趣味の仲間と親しくなる・・・
 
集まりの世話役をする・・・
 
一生懸命・・・
 
負けず嫌い・・・
 
そういうことは、人の美点でもあるのだけれど、
 
「更年期少女」には、醜悪な姿、現実逃避の姿として描かれていた。
 
読後に、なんとも言えないような嫌な気分になった。
 
 
 
それは、この話の登場人物と自分が更年期という同じ世代だからだし、
 
私も、好きなことに熱中すると時間を忘れて集中してしまうからだ。
 
納得いくまで調べものをしたり、意見交換をしていて、熱くなって論争することもある。
 
私自身も「更年期少女」と言って良いだろう。
 
 
水泳のレッスンに熱中していたときには、レッスン後に内容をノートに記録したり、
 
それらを身につけようと毎日のように泳いでいた。
 
「熱心ですね」と言われると、なんと返事して良いか分からなかった。
 
昼間、プールで泳いでいると、
 
よく、「仕事は?」と訊かれ、その度に「仕事はしてないんです」と答え、
 
「優雅で良いですね」と言われた。
 
悪い意味で言われてないと分かっていても、悲しい気分になったものだ。
 
なぜ、悲しいか・・・
 
ただ楽しみのために泳ぐ自分を肯定できない気持ちがあったからだ。
 
 
しかしながら、泳いでいると悩みや不安から解放されて癒される。
 
体力もつく。脳トレにもなる。
 
良いことをしているはずだが、世間的には、非生産的な人間だという引け目を感じるという、
 
葛藤がある。
 
 
「更年期少女」を読んで、物事に熱中するという自分の美点が、真っ黒に塗りつぶされてしまうような、
 
否定的な感情が持ち上がって、読後感が重かった。
 
葛藤を抱える自分が読むには、重い内容だった。
 
 
そして、掲示板でのトラブルを思い起こして、気持ちが凹んでしまった。
 
 
 
「更年期少女」には、母親の危うさを心配する娘や、家族が登場するところには、救いがあった。
 
母親を心配して探す娘や、大怪我をして死にそうな妻の顔を覗き込む夫についての描写がなかったら、
 
読後感は、もっと悪かったと思う。
 
健全な人も描かれていて、少し救われた。
 
 
・・・わたむし(妻)