おトメさん 最終回 麻子の告白

ドラマ中の麻子の告白を書き起こしました。







特別なことは何もなかった。

いつもと同じ1日だった。



(庭で)
「はぁぁぁ やっと咲いたのね。はじめまして。」(麻子 バラの花に呼びかける)




(姑と麻子のやりとり)

●「麻子さん」


○「はい」



●「いったいどういうつもり?」



○「何がでしょうか。おかあさん。」



●「そのバラですよ。棘のあるものなんか植えて、子どもが触ったら怪我するじゃない。

 博之の花粉症にだって良くないんじゃないかしら。

 このお庭、誰の庭かしら?

 このバラも誰のお給料で買ったのかしら?

 言いたくはないけど、あなたが妻としてレベルが低いから、博之、不倫なんかしたのよ。

 ちょっとは反省しなさい。」

(姑 そう言って、ハサミで麻子が話しかけていたバラの花を切り落とす)





○「おかあさん、ほんとに すみませんでした。」


●「どうして謝るわけ?」


○「はい?」

●「あなた、何でも 謝ればすむと思っているんでしょう。」

○「そんな・・・」

●「じゃあ、言いなさいよ。どうして今、すいませんって言ったの?」

 
 「ほら、ごらんなさい。何言われても、ごめんなさい、すいませんですむと思ってるんでしょ。」

○「すみ・・・・」


●「言いたいことがあったら はっきり言いなさいよ。

 いつもいつも、健気で可哀相な嫁の顔をして。

 そういう顔をされるとね、

 私は、どんどん意地悪な姑になるしかないの。

 わかる?
 
 あなたは私にいじめられていると思っているかもしれないけれど、

 あなたが私をいじめさせてるの。

 ここまで言っても、まだ、良い子ぶりたいの?


 もう、ああああ・・・むしゃくしゃする。

 イライラするわ。

 もう・・・・ああああああ・・・(テーブル上の物を床に投げる)


○「おかあさん、すみません」


○「あっ」(物を拾う麻子の手を姑が踏む)


●「痛い?痛かったら 痛いって大声で怒鳴りなさいよ。

 あたしね、あなたの本当の声が聞きたいの。

 真面目に家計簿をつけて、甲斐甲斐しく私に従っている顔の裏で、

 どんなに根性が曲がってはしたない女か 見たいのよ。

 だって、自分でも 分からないなだもの。

 あたし、どうして嫁のあなたが こんなに憎いのか知りたいのよ。

 あなたの何が あたしをこんなに腹立たせるのか。

 一度でも怒ったらどうなの?

 えぇ?」


 「ハァァ・・・・ああぁぁぁぁぁ くくく苦しい  苦しい  苦しい」

 「あなたのせい・・・・死にそう・・・あなたのせい・・・あなたの・・・」

(姑が倒れ、麻子の手を握る)


○「おかあさんが死ぬわけないじゃないですか。」(手を振りほどく)


私はあの時、私への当て付けで具合の悪いふりをしているのかと思ったの。

どこをどう歩いたのか・・・気づいたら駅前のパチンコ屋に居たわ。

パチンコなんてしたことなかったけど、何もかも忘れることができた。

おかあさんなんて、死んじゃえばいいのにと ほんとに思った。


お金がなくなって家に帰ったのは夕方だった。


○「ただいま もどりました。」

 「おかあさん、すみません。長々と出かけてしまいまして・・・」

「おかあさん、おかあさん?おかあさん」

(おかあさんの体を揺さぶる)


そしたら、おかあさんは ここで冷たくなってた。




私があの時、家を飛び出していなかったら・・・

ほんとに具合が悪いって気づいてあげていたら・・・

救急車を呼べたわ。

私が おかあさんを見殺しにしたの。

でも、パチンコ屋さんにいたなんて言えなくて・・・

どうしても言えなくて、今日まできたの。

謝って許されることじゃないのは分かってます。

でも、ほんとに ほんとに ごめんなさい。



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大事にしているバラの花を切られた時に、怒りを我慢しないで、

そのときに「酷いじゃないですか。花が咲くのを待っていたんですよ。何も切らなくてもいいじゃないですか。」とか、

「博之さんの不倫で傷ついているのは私です。酷い言い方をしないでください。」

「私をいじめるのは止めてください。」

みたいに言葉で言っていたら、話は全く違う話になっただろう。

いじめる人は、いじめられる人が怒りを見せないと、

イライラして攻撃を強める。



・・・わたむし(妻)