ドラマ「これは経費で落ちません」

原作も面白いが、NHKで制作されたドラマの方も面白いと思って見ている。

昨夜は、総務部の二人の女性がコーヒーサーバーを買う・買わないで争っているという話だった。

コーヒーサーバーを買いたい女性は、飲物を飲みたい人が飲みたいときに自分で入れれば良いという考え。

コーヒーサーバーは要らないという女性は、お茶汲みはコミュニケーションに必要な大事な仕事と言う。

この回を見て、若い頃の苦い記憶が甦った。


よい頃合いで気を利かせてお茶を出すというお茶汲みは、私にはとても難しいことだった。

勤務時間より早く出勤してお湯を沸かし、ポットに注いでお茶の準備をしておくのも苦痛だった。

40人近い職場だったから、ポットの数も多かったし・・・。

お茶の準備は、私にとって苦痛だった。

「おはようございます」という挨拶は交わしていたが、

なぜか雑談はなく、手際よく効率的に、まるで競争をしているかのような時間だったと記憶している。

働き始めて2年目で心が折れてしまった。

毎朝のように吐き気がし、とうとうお茶の準備に間に合うような出勤ができなくなった。


思い出したくないことだったが、「これは経費で落ちません」を見て、

惨めだった記憶が甦った。

「お茶汲みができない」=「お茶汲みもできない」=「ならば、本業もできないだろう」=「仕事ができないなんて仲間じゃない」

みたいなアリ地獄にいた自分は、毎日、焦っていた。

仕事ができないというレッテルを剥がそうと焦っていたなあと過去の自分を思い出した。


あの頃、「自分には荷が重いです」と言えたら良かったなあ。

「みんなと同じようにやれなくて、大変だったね」と過去の自分をねぎらってやりたいなあ。


「これは経費で落ちません」のコーヒーサーバーの回は、

私に蘇った記憶とは無関係に、穏やかなハッピーエンドだった。

・・・わたむし(妻)