美智子さま物語

平成の終わりの夜、テレビで「美智子さま物語」というドラマを見た。

主人公は誰なのかよく分からなかった。


美智子さまをイジメた旧皇族・旧華族の女性たち?


皇室ジャーナリスト?


誰が主人公かよく分からなかったが、

伝統を守ろうとする人たちの考えは分かった。

皇太子妃は旧皇族・旧華族から選ばれるべきだと考える人たちは、

民間からの皇太子妃を認めることができなかった。

こうあるべきという理想と現実がかけ離れ、溝ができたところを、

民間出身の皇太子妃をいじめることで埋め合わせていた。

その結果、皇太子妃・美智子さまは倒れ、葉山で静養することになったのだが、

それさえも、「公務を怠けている」「ワガママだ」とイジメる理由になってしまう。

ドラマを見ていて、イジメがエスカレートすれば心の病や自殺へ行きつくなあと思っていたら、

永作博美演じる女官長が止めた。

女官長は、元は加害者側だったが、途中から味方になったようだった。


ドラマを見て気持ちが高ぶったせいか、私は寝付きが悪かった。

いろいろと思い出すこともあった。

ドラマのように、身分・家柄のつり合いがとれる結婚が望ましいと考えるなら、

旧皇族・旧華族といった元公家・元大名家の人たちは、

結婚相手を選べなくなるだろう。

親戚同士での結婚ばかりになってしまう。

皇族も、元皇族・元華族としか結婚できないなら、

やはり相手を選べなくなってしまう。

結婚は難しくなり、妊娠出産が難しい年齢になってからの結婚になるだろう。

すると、皇族は絶滅してしまう。


大昔、エジプト王家では近親婚しかなかったと聞くし、

朝鮮王朝でも、同じ王家の人としか結婚できなかったと聞く。

結果どうなったか・・・絶滅したよね。

多様性を失うと、絶滅の危機に直面してしまう。


いろいろある「こうあるべき」というルールを緩めていかないと、

皇族は絶えてしまうだろう。


伝統を守ろうとすれば、「こうあるべき」というルールは固くなり、

結局、絶滅へと向かっていくだろう。

ドラマを見ていて、伝統を守るのだという理由で美智子妃いじめをする人たちが愚かに見えたが、

実際のところ、「こうあるべき」というルールを振りかざして人をイジメる人たち、いっぱいいるなあと思った。


会社にイジメがはびこれば、

働き手不足になって倒産の危機に直面するが、

イジメる側にも正義があるようだ。

自分らの正義を通して、会社が絶えたとしても

本望なのだろうか・・・

などと、いろいろ考えが浮かんで、寝つきが悪くなってしまった。


柳原白蓮のことも思い出した。

白蓮は詩人として有名で、ドラマにも描かれるほど人気があるが、

確か、美智子さまが皇太子妃になるのを嫌い、反対運動をしていた。

つまり、美智子妃イジメをしていた人だ。

白蓮がドラマで描かれるとき、白蓮の情熱的な和歌や恋愛が描かれるが、

美智子妃イジメをしたという側面は描かれない。


・・・わたむし(妻)