老後の資金がありません 垣谷美雨
640円の文庫本を買って読んだ。
「老後の資金がありません」というタイトルは、まるで自分自身の課題のよう。
読み始めて、節約小説かなと思ったら、
サバイバルものか?
義兄弟姉妹のドロドロ劇?
なんだこれは?
などと驚きながら読み進め、
終盤では、犯罪小説だなと思った。
「お金がない」という崖っぷちに立った人が、警察沙汰にならない詐欺事件を犯したり、
殺人を犯したりする。
なのに、ハッピーエンド。
面白く、壮快な気分で読み進め、ああ、ハッピーエンドで良かったなあと思ったものの、
読んだその夜、嫌な夢を見た。
私には、刺激が強かった。
節約上手で身ぎれいで、家事も丁寧にこなしているサツキという登場人物に、
すごく好感を抱いて読んでいたから、
読後感がとても悪くなったのかなあ。
サツキの嫌な面を見せられて、ショックだったかもしれん。
主人公の篤子が、雇い止めされる場面では、
ああ、自分も同じこと言われたなあと、古傷が痛む思いがした。
一生懸命にやってきた仕事を失い、しかも、二度とその職に就けないなんて、
とても可哀想だった。
・・・わたむし(妻)