しそ漬け

子どもの頃に食べたしそ漬けの混ぜご飯が急に食べたくなった。

梅干し漬けのしそを細かく刻んでご飯に混ぜたもの。

砂糖を少し混ぜて甘酸っぱい味に仕上げる。


食べたいが、残念なことに私は梅干しを手作りしていないので、このしそ漬けがない。

「しそ漬けが食べたい」と夫に話してみたら、

「家に居るんだから作ったら」と夫は言った。

私は「作れない」と返し、

「そこまでして食べたいわけじゃないんだな」と言われた。

ちょっと気持ちが凹んだ。


梅干しは、不登校支援の仕事をしていたころに、仕事で子どもたちと作ったことがある。

梅を塩漬けし、梅酢が出てきたら梅を取りだして干す。

そしてまた梅酢に戻す。

二回くらい、その工程を繰り返し、塩漬けした紫蘇と共に浸け込むという作り方だったと記憶している。


仕事だから出来たことだなと思う。

今の自分に、梅漬けをするのは無理だろう。

作れない。


店で梅干しを買うが、しそ漬けを見つけたことはなかった。

しそ漬けを食べるには、やはり自分で作らなきゃならんのだろうかとガッカリしていたところ、

マックスバリューの大山町の物産品の中に、しそ漬けを見つけた。

手のひらに乗るくらいの量が袋詰めされたそれは、100円。

私は、うれしい思いでそれを買った。

ああ、これで食べられる。


炊きたてのご飯に刻んだしそ漬けと少しの砂糖を混ぜて食べたら、

「これ、これ、この味よ」と昔の味を思い出した。

夫にも食べてもらった。

「美味しい」と言ってもらえて嬉しかった。


しそ漬けは美味しい。

けれども、自分で梅漬けをすればと言われると抵抗を感じる。

多分、仕事で経験したことを思い出すからだろう。

良い思い出もあるが、思い出したくない辛いこともあった。

・・・わたむし(妻)