ピピピ

日本人は誠実で勤勉、ルールを守るというイメージを外国人に持たれていると聞く。

でも、日本人である私はどうだろう。

あんまり勤勉ではない。今日できることを明日に先延ばしすることは多い。

できるだけルールは守る。

特に信号は守る。

誠実でありたいと思っている。


勤勉の項目は「日本人」のイメージから外れるが、だいたい「日本人」のイメージに一致するかなあと思う。

自分ではそう思うが、私は集団の中で浮いていると自覚している。


自分は普通以下だ、劣等だと意識したことが新卒のころにあった。

初任者研修でレクリエーションの講座があり、いくつかの集団ゲームを体験した。


ゲームを進行する人が、ピピピと笛を吹く。

吹いた数を認識して、その人数で集合して座るというゲームだった。

私は、三回続けて集合できず、会場でポツンと一人余った。


ゲームを進行する講師は、こんな風にゲームについていけない者は問題を抱えていると言い、

子どもたちにゲームを行うと子どもの問題を見つけることができるのだと説明した。

私は大勢の中、「劣る者」として晒された。

それまで、劣っている自覚がなかったから、言いようのない暗い気持ちになった。

さらに、この講師が職場の上司でもあったから、私は一生懸命に働いた。

努力はしたが、努力を認められることはなかった。


この出来事は30年以上前のことだが、つい昨日のことのように忘れられない。

多分、私は、「優れた人たち」の研修の材料として利用され消費されたことを恨んでいるのだろう。


あのゲームで、集団を余りなく割り切れる数を使っていたら良かったのになぁと思う。

意図的に、「1」余るようにしていたのだから、酷いゲームだ。


そうだ。集団からポツンと外れてしまうのは、怖いことだ。

心臓がバクバクする怖いことだ。


集団から外されてしまうのも怖いことだ。

怖い怖い。

ブルブルッ。体が反応するほど怖い。


「あなたは集団に入れないポンコツだ」と言われるような怖さだ。


選挙では、日本人の自分を意識して、どんな国になったら良いかと考えて投票する。

私は、投票について考えると、「劣る」と目をつけられ、冷淡な扱いを受けた数年間を思い出してしまう。

上に立つ人には、排除や選別でなく、寛容さを求めているようだ。


・・・わたむし(妻)