朝倉市黒川の梨

昨日の朝、実家から梨が送られてきた。

届いた荷物の様子がいつもと違っていた。

いつもなら、うきはの農園から果物が送られてくる。

今回は、「あさくら黒川」と書かれていた。


私は、玄関で梨が入ったその箱を受け取り、

うきはへ向かった。

うきはの実家で数時間過ごし、朝倉市杷木のピアノ教室へ行く予定。


実家へ着くと、まずは梨のお礼を言った。

そして、「どうして朝倉の梨?」と訊いてみた。

母親の話によると、

朝倉の山田に父親の元同僚の家があるから、行けるところまで見に行ったそうだが、

道が分からなくなっていて行けなかったという。

そこで、山田の信号近くの三連水車の里に立ち寄ったところ、梨の販売があるのを知り、

そこで買って送ってくれたということ。

ボランティアはできないから、梨を買ったそうだ。


果物の栽培が盛んな浮羽の人が朝倉の果物を買うという普通ではない状態だ。

大福小学校の近くへも行ってみたそうだ。

ネギがやられていたとショックを受けていた様子だった。


私は、子どもが幼いころ、少しだけ大福小学校で働いたことがある。

昔のことなので、記憶が曖昧になってきているが、ネギと聞いて少し記憶が甦った。

確か、大福小学校の近くには、万能ネギを栽培するビニールハウスがたくさんあったと記憶している。

美しい農地のイメージはあるが、大打撃を受けた様子を想像するのは難しかった。

見てみないと分からない。


大福小学校は校舎の被害をうけた比良松中学校に近い。

だから、理屈では、大福小学校近辺も大打撃を受けたという話は本当だろうと受け止めた。

とにかく、ショックな話が多い。



農家の人が土を大事にしているのに、農地に土砂が入ってきたのだから、

田んぼや畑が青々とした緑色をしているとしても、被害は計り知れない。


化学肥料を使わず、有機肥料を使っていたりという農家のこだわりを土砂が打ち砕いた。

ノウハウがあるから、ゼロにはなってないんだろうけど。


テレビでは、被災しながらも前向きに活動している人たちが紹介されているが、

あまり前向きな人間でない私が自分と重ねると、

私の内側では、

「もう死んでしまいたい」という

破壊的な呟きが聞こえる。

「なんで」「どうして」という、疑問形の呟きもある。

「なんで」「どうして」という疑問は、疑問の形をした怒りの言葉。

こういう怒りや自己破壊の考えに引きづられると、良くないことが起こる。



送ってもらった梨を今朝、むいて食べた。

みずみずしく甘い。

梨は収穫され、確かに農家の収入になっているだろう。

梨一つ一つに希望が詰まっているようだ。


これらの梨、どうやって食べようか。


・・・わたむし(妻)