南蛮菓 ざびえる

夫が職場からお菓子を持ち帰った。

「ああっ、ざびえる」

と私は言った。

お前知ってるのかと言われ、長崎のお菓子かなと言ったんだけど、

「ざびえる」は大分のお菓子だ。

私は、「ざびえる」という名だけ知っていたようだ。


食べてみると、思っていた味と違っていた。

やっぱり、名前だけ知っていたようだ。

不思議な味がした。

「ざびえる」は親指のような長細い形をしている。

洋菓子のようにも見えるし、細長い饅頭のようにも見える。

一口食べると、やっぱ饅頭だと思った。

白あんを包んだ饅頭だ。

でも、その白あんから、かすかにお酒の香りがして、

柚子のような風味もした。

餡子にフルーツが練り込まれているのかな。

和菓子なのに、洋風の味だな。


「ざびえる」という名から、キリスト教を連想し、

キリスト教と言えば長崎だと思っていたが、

よくよく思いかえせば、大分に大友宗麟というキリシタン大名がいたと思い当たった。

フランシスコ・ザビエルは、きっと大分へ行ったんだろう。


「ざびえる」を長崎のお菓子と誤解していて、ごめんなさい。

・・・わたむし(妻)