買い物

天神駅で電車に間に合うかと歩いて行くと、

一足も二足も遅かったようで、大牟田行きの特急は発車した。

ああ、あれに乗りたかったのに。残念。

しょうがない、次の小郡行き急行に乗ることにした。

大牟田方面から到着した電車から、どっと勢いよく大勢が下りてきてすぐに電車は空になった。

ちょっと待つと、電車のドアが開いた。

私は、ゆっくりと乗り込みドア近くの席に座った。


10分ほど待てば発車する。

とにかく、座って体を休めた。くたくただ。

微熱があるのに出かけたから。

しょうがない。


ぼんやりと辺りを眺めていると、見覚えのある婦人たち2人を電車内に見つけた。

知っている人ではない。

イムズで見かけた人たちだ。

印象深い2人だった。

仲よさそうに会話していた様子が脳裏にある。

私は、2人に対して、羨ましいなあと思った。

高齢になってお友達とショッピングする自分を想像することはできない。

私はいつも一人で行動しているから。

でも、本音では、お友達ほしいなあと思っている。


イムズでは、その高齢女性のように2人連れの女性を何組も見た。

4人組もいた。


私は、イムズのプラザという店に入り、目的のものを探した。

どこにあるか分からないなあと困っていると、店の人が話しかけてくれた。

だから、目的のものが直ぐに買えた。


一つ、手に入らなかった。髪も体も洗える全身シャンプーだ。

店の人に尋ねると、髪も体も顔も洗えるシャンプーはないとのことだった。

「ミノンみたいな全身シャンプーは?」

食い下がって訊いてみると、ドラッグストアに行ってくれとの返事だった。


プラザは大きな化粧品売り場。

髪も顔も同じもので洗うという発想は歓迎されていないと感じた。


髪も体も顔も洗えるシャンプーというのは、美容関係者にはNGみたい。

冷たい風がふいたように感じられ、私は一人イムズを出た。


全身シャンプーは無印にもあったように記憶している。

体がだるいのに、意地になって北へと地下街を歩いた。

地下街の突き当りのビルに入り、エスカレーターで上がり無印良品へ行った。

無印の化粧品売り場の近くにシャンプーがあった。

この近くに全身シャンプーがあったらいいなと思いながら品物を目で追った。

あった。小さなボトルと大きいボトル。

大きい方が900円。

これだ・・と思った。

目的のものを買うことができて満足した。

私の買い物は、楽しいショッピングというより、

生活に必要なものを手に入れる「採集」みたいだ。

物を探して買う。


山の中に一人で入り、山菜を摘むのに似ている。

どこで買い物をしても、それに似ている。


帰りの電車で、あの人たちイムズで見たなぁと思った。

あの人たちがなんの買い物をしたか分からないが、

年をとっても友達付き合いがあるのは羨ましいなあ。

一人で買い物をするより楽しかろう。


友達作りを諦めている私は、これから先もずっと一人で買い物をするだろう。

しかたがない。


そういえば、明日、夫はお友達と飲み会だと言っていた。

うらやましいなぁ。


しかたがない。私は、その輪に入れないから。


・・・わたむし(妻)