タロウが死んだ
実家で飼っていた犬のタロウが死んでしまった。
ペット葬儀屋に頼んで火葬するのだとの連絡が入った。
年をとると食が細くなり、そして、足が弱る。足だけでなく全身の筋肉が弱るのだろう。
先月、タロウにあった時、もう何も食べられず、立つと後ろ足がプルプルと震えていた。
力尽きたようにパタンと音を立てて落ちるように座った。横になっていたから、眠っているのかと顔を見ると、
丸く目を開いていた。私たちを見上げる目つきは、少し悲しそうに見えた。
今度実家へ行くときに、タロウに食べさせようと軟らかいドッグフードを買っていたのだけど、
タロウは死んでしまった。
二年前だったかな、NHKスペシャルで人の看取りについて特集されていた。
老人はご飯を飲み込めなくて、なかなか食が進まず、少しずつ弱って自宅で亡くなった。
胃ろうをして、栄養を体に取り入れていた老人は、ある日急変して亡くなった。人が亡くなる様子を撮影するなんて、重いなぁと思ったが、今は、その番組を見ていて良かったと思う。
生まれてきた生き物は、みんな、死を避けられないんだ。老いて死ぬのは、決して楽なことではないのだが、命を全うするのは、不幸なことではないのだなぁ。
もっと可愛がっていればタロウはもっと長生きしたのではないかと思うより、タロウは最後まで頑張ったんだなぁと思いたい。
けれど・・・寂しくなったなぁ。家族が減ってしまった。
偶然、「これがいい」と息子が選んだのがタロウだったし、
思いつきのように息子がタロウと名付けた。
別の仔犬を選んでいたら、タロウと過ごせなかった。
思い出すと、臆病な犬だったが、裏返して解釈すると賢い犬だったとも言える。
落ち着きがない犬だったとも言えるが、活発な犬だったとも言える。
頭が良くて好奇心旺盛だが、怖がりな犬だった。
小柄で茶色く、赤い首輪が似合う可愛い犬だった。
吠えないように躾けられていたが、散歩から帰ると「ただいま」と言っているみたいに「ワン」と吠え、
12時や5時に流れる防災無線の音楽に合わせて遠吠えした。
・・・わたむし(妻)