「下町ロケット」 夢って何
録画しておいた「下町ロケット」第二話を見た。
見ているときには、すごく面白いと思いながら見た。
第一話で、主人公の佃は、研究開発に経費をかけることについて、社員の生活と自分の夢とどちらが大事なのかと社員から非難されていた。
第二話で、研究開発が報われるという、ワクワクするような面白い展開になってきた。
が、見終わってしばらくして、心がチクチクするような記憶が甦った。
30代の頃、仕事のために不登校や引きこもりに関係した学習会に参加していた。
思い出したのは、引きこもりのサポートをする親の会についてだ。
数人一組でグループを作り、一人ずつ短い時間で話をする。話の内容について質問や意見はしないというルールがあった。それぞれのグループには、お世話役がいて進行を務めていた。私が入ったグループのお世話役は臨床心理士の資格を持つ年配の女性だった。
私は自分が何を話したか覚えていないが、話し終えてお世話役が私に言ったことを覚えている。
「あなたの課題は夢を持つこと」というアドバイスだった。
質問や意見はなしというルールに、お世話役は含まれていなかったのかもしれないが、アドバイスされて私は多分戸惑ったのだろう。だから覚えているのだろう。
「夢を持ちなさい」と言われたって、当時の私は日々の生活で精一杯だったし、仕事の質を向上させたいという目的で学習会に参加していたのだから、ささやかな夢は持っていたのだ。が、なぜか夢のない者というようなことを言われて困惑したのだろう。
傷ついたかもしれない。「夢って何?」と自分に問いかけたが、答えらしいものは思い浮かばなかった。
今の自分だったら、少し答えられる。
「夢って何?」と聞かれたり、「あなたの課題は夢を持つこと」と言われたりしたら、
「ささやかな夢があります」と答えるだろう。
「夢」を別の言葉で言い換えると、「欲」だろう。
「あなたの課題は欲を持つことですよ」とアドバイスされたら、具体的に考えられる。
将来に備えて貯金したい・・・とか、健康でありたい・・・とか、いろいろと欲はある。
欲望と言うと生々しいが、夢と言うより具体的に考えやすい。
お金や名誉が欲しいという欲を持つ人もいるだろう。それもまた夢を持つことになるはずだ。
今の自分で良いという場合、現状を維持したいという欲を持っていることになる。
「下町ロケット」というドラマには、「夢」というには毒々しい欲望が渦巻いているみたい。
夢が叶ったり叶わなかったりする様子は、生々しくてグロテスクだったりする。
・・・わたむし(妻)