崩された安全

新幹線で焼身自殺が起こったとニュースを見て、列車に消火器はないのだろうと想像した。あるとしても、焼身自殺を想定した訓練をしてないだろう。

火事になった場合、バスだったらどうしたら良いのだろう。

タクシーだったら?

危険物を持ち込んで火をつけたら、その火は消せないのだろうか?



高速で走っている乗り物で火災が起きたら、狭い出入口に人が殺到してドアの前に人が詰まるだろう。

逃げにくい構造だ。死にたくないと、必死に逃げた人が大勢いたと思うと胸が詰まるようだ。

止めようと話しかけた人がいたとも聞いた。聴く耳のない状態だったのだろうか・・・。


入念に安全確認をしていても、犯意を持って行動する人間には脆い。

安全運転は、焼身自殺を防げない。


そういえば、昔放送された「高校教師」というドラマには、最終回で主人公と女子高校生が列車内で自殺したという場面があったと記憶している。今思うと、とんでもない内容だ。

バッドエンド。


絶望して死にたいと思ったり、怒りを抱えきれなくて抗議の意味で自殺しようと思ったりしたとき、「それは、不健康な状態だ」と考える冷静さが少しでも残っていたら、自殺しなくて済むだろう。

現状を維持したり問題を解決しようとすることが出来ないと諦めて自殺するのだとしたら、その行動を起こす前に、「死にたいくらいに大変」と誰かに打ち明けたら良いのではなかろうか。話せば行動にうつさなくて済むかもしれない。

誰も傷つけない自殺なんてない。自殺すれば、必ず誰かが傷つく。

その場に居合わせた人だけでなく、ニュースを見聞きした人も傷つく。

傷つく人がいるのだと思えないくらいに不健康な状態になっているのだから、自殺という行動を起こす前に、誰かを頼ってほしい。


建物の中だったら、非常口から逃げられて被害は少なかったかもしれない。狭い車内に油をまいて火をつけるなんて、酷い。焼身自殺じゃなくて、無理心中に近いのか・・・。人々が築いてきたものを破壊して死ぬという犯罪行為か・・・。

・・・わたむし(妻)