ニコニコ時給800円
「ニコニコ時給800円」
バスの待ち時間と、交通事故で福岡都市高速が渋滞しているときに読んだ。
この本は、渋滞でバスが動かない間の、私の心の隙間を埋めてくれた。
結構、面白かった。
短編集なんだけど、それぞれの話の登場人物が重なっている。
だから、連続ドラマのようでもあった。
後で気づいたのだけど、時給800円は、東京の最低賃金。
ということは、最低賃金で働いている人たちを主人公にした話だったということだ。
最低賃金でニコニコ楽しく働けたら、それはそれで良いのかもしれない。
この本には、残業で死にそうな悲壮感はない。
頑張らなくても、そこそこ生きていけるぞ・・・と言われているような感じがした。
第一話では、東大法学部の学生が、まんが喫茶で働き始めてから、中卒の30代店長が学歴コンプレックスに悩まされ、自分を見失ってしまう。
自分よりも頭の良いできる人を部下に持ったら、この店長のようになってしまうのか・・と恐ろしく思った。
自分らしくニコニコと、楽しんで働いている人は、そんなには多くなく、
この話の登場人物の言った「ゆるい我慢大会」で苦痛に耐えることが労働だと思っている人が多いのかもしれない。
「ゆるい我慢大会」では人は死なない。
頑張りすぎず、そこそこ希望を持って、そこそこ努力して生きていけば良いのではないか・・・と
仕事で我を忘れてしまいそうになったら、立ち止まれと言っているような気がした。
・・・わたむし(妻)