「昨日、ホームレスになった。」岸田健作

「笑っていいとも」で、いいとも青年隊として3年間活躍し、バラエティー番組等に出演していた岸田健作

私は、本を読んでこの人を知った。


高校時代にスカウトされ、卒業と同時に芸能界へ入ったラッキーな人だ。

下積みがないためか、自分の足元固めができてなくて自分の芸に自信もなく

自分で切り開いてきた実感もない。レールに乗ってきた。

そんな岸田さんが、父のように慕うチーフマネージャーの死に直面し、心の支えを失って自ら芸能界から去ってしまう。

貯金もなく、将来への展望もなく、

悩みを相談することもできなくて、野宿でも良いではないか・・とホームレスになってしまう。


今、生活保護の問題で新聞等でいろいろと書かれているけれども、

この本で、若者が、親に頼らない方法としてホームレスという選択をする様子を読み、

生活保護が一時的にでも心身を支えるシステムなのだと納得した。

食事や睡眠、安全がない所で無気力になってしまうと、そこから抜け出すのは難しい。

代々木公園で寝泊りし、様々な表現者を見て自分の目指す芸を見出し、行動した岸田さんは、

やはり何かを持っている人なんだなと思った。


ただ、明日から寝泊りする所がないと言えず、荷物を実家へ持ってきて

そして、ホームレスになってしまうという彼のその時の思考が

間違いそのものだ・・・と言いたい。


「違うやろ」と突っ込みを入れながら読んだ。


ホームレス経験があると告白したから、彼は本が出せた。

彼を知らなかった人が、本によって彼を知った。


ホームレス経験を書いて話題になったお笑い芸人もいたが、

「ホームレス」というワードが有名になる足がかりになるのだと誤解してはいけない。


・・・わたむし(妻)