中高年引きこもり61万人のニュースを見て

中高年の引きこもりが61万人もいるというニュースを見た。

津波で引きこもりの息子を亡くした60代の男性が取材されていた。

津波から逃げようとしなかった息子は遺体で見つかったという。

亡くなった息子は、もともと色白なのに外出しないから肌色は真っ白で、

髪も伸ばし放題だったから、一目で息子と分かったそうだ。

60代の男性は、当時、学校の校長として働いていた。

妻から、息子に関わってほしいと頼まれていたが、仕事の忙しさから、

定年退職したら関わろうと先延ばしにしていた。

しかし、災害で息子を失い、関わることはできなかった。


次に紹介されてのが、50代の引きこもりの当事者。

大学を中退してから、仕事が続かず、今は80代の母親の世話になっている。

なかなか自分にあった仕事に出会えない苦悩があるようだった。


ニュースの取り上げ方に気になることがあった。

二例目の50代男性について。

この人は、髪は理容店か美容院でカットしているように見えた。

ヒゲもちゃんと剃ってる。

洗い物がたまった台所が映っていたり、

仕事探しが上手くいかないと言う様子が映っていたりしたが、

それらが引きこもりの苦悩であるとは思えなかった。

彼は、支援施設に通って仕事を探している。

社会に出ようと行動している。


頑張っている姿を、編集して情けなく見せているように見えた。

せっかくテレビ局の取材を受けてるのに、

切り取り方に「引きこもりとは、こんなもの」という先入観が表われていると思った。

ニュースなら、嘘ではない本当のことを伝えてほしい。


1例目の、津波から逃げられなかった男性についての話には、

自分も同じかなあと思った。

津波のような命の危険があるとして、

大勢の人がいる避難所へ行くイメージは湧かない。

今、住んでいる所のご近所さんたちと一緒に身を寄せあうというイメージは思い描ける。

しかし、みんなで協力し合って避難所を運営するイメージは湧かない。

人のお世話をするようなリーダー的な存在の人に対して、

良いイメージが持てない。


私の出会ってきたリーダーは、あまり良い人ではなかったからだ。

その人の都合や好き嫌いで仲間外しにしたり、人を利用したりするし、

それを悪いとも思っていない。

人が大勢集まれば、必ずそのような心性の人が存在する。


良い人もいると分かっているが、

恐怖の方が先に来てしまう。

恐怖と死を天秤にかけたら、命の方が大事だと分かっているが、

平気で嫌がらせやいじめを行うリーダーかもしれんと思ったら、

足がすくむだろう。

そんなことを思いめぐらしている間に逃げ遅れるに違いない。


ただ、私には守るべき家族がいるから、

社会への不信感や嫌がらせやいじめを行う悪意ある人の存在を横に置いて、

家族を安全な場所へ向かわせたり、

安全を確認したりするだろう。

社会との繋がりはうまくいってないが、

家族は守りたい。

家族との繋がりが感じられる点は、ニュースで取り上げられた1例目と違う。


引きこもりで一番つらいのは、家族ともつながりが感じられないことなんだろう。

私は、避難所にいる自分をイメージできないが、

少なくとも、家族やご近所の方たちと一緒にいることはイメージできる。


ニュースで引きこもりが取り上げられるとき、関心を持って見ている。

それは、自分も引きこもりだと思うからだ。

・・・わたむし(妻)