「ケチ」のおもてなし
筑紫野から杷木まで高速バスに乗ると、いつもと違って乗客の中に話し好きな人がいた。
いつもはみんな静かにしているが・・・。
私は聞こえてくるおしゃべりの内容がとても気になった。
二人の年配女性が大きな声で話していた。
親戚の法事に呼ばれた時のことを腹立たし気に話していた。
今は自宅で法事をする家は少ないが、親戚が家で法事をした。立派な家柄の大きな家なのだが、
ビニールの風呂敷に包まれたお弁当とちょっとした茶菓子とミカン、スルメなどの酒のつまみ、お茶、ビールという質素な接待だったそうだ。
人を接待するには、料理にこだわるものだと思っていたその人はがっかりしたという。
話しているうちに怒りが増したようで、その親戚が「ケチ」と言われた。
なぜ「ケチ」かというと、法事に出席する人が持って来る香典がその家の収入になるではないか・・ということ。
その上、人の心の機微が分からない人とも言われていた。
話している人が怒っているのは分かったけれど、そんなに悪く思われることなのかと恐ろしくなった。
「ケチ」という言葉は、胸をえぐるような怖い言葉だと思った。
人柄を悪く言う場合の「ケチ」という言葉は、爆弾みたい。
私は、料理が得意ではなく、朝の弁当作りは大変だと思っていたし、今も弁当作りはしたくない。
だから、しない。
できるだけしない。
夕食を多めに作って容器に入れておき、それを夫は職場に持って行く。
高速バスの中でおしゃべりしていた女性たちの価値観で見ると、私はケチで気配りのできない者となるだろう。
最近、ネットの記事で、専業主婦なのに弁当に冷凍食品を入れるなんて・・・というのを見つけた。
私は、美味しく作れるなら冷食も良いと思うから弁当作りに冷食を使っていた。忙しいときには、卵焼きと冷食を活用していた。そのネットの記事によると、そういうのは駄目らしい。
運動会にはコンビニで幕の内弁当を買っていた。やはり、そういうのはダメダメなんだろう。
そういえば、もう、おせち料理の受付が始まっている。何万円もするやつ。私はケチだから買わないようなの。
お正月にデパートで買ったおせち料理を食べるのは、OKなんだろうか?
高いから「ケチ」とは言われないが、手作りにこだわる人からは駄目だと言われるだろう。
高速バスで乗り合わせたその女性たちは、おせち料理はどうするのかな・・・。
・・・わたむし(妻)