ビス
夫が運転する車に乗っていると、車の下の方から、ぐんぐんぐんとリズミカルな音がした。
停車すると音は止まり、発信すると音が出続ける。夫は車を路肩に停めて車を見た。
「こりゃいかん。ビスを踏んでいる」と夫が言った。
「ビスって何?」私はイメージできない。
家に着いてから車のタイヤを見ると、溝に突き刺さっている物があった。
私が「釘が刺さってる」というと、「釘ではなくてビス」と訂正された。ネジのように+の溝があるから釘ではないとのこと。
タイヤに刺さるような尖った物はどこに落ちていたんだろう?
「誰かがまいたのかな?」と私が馬鹿げたことを言うと、夫は「誰もまかんだろう」と言った。
私の頭の中では、忍者が蒔きびしをまいて、敵が痛がっている様子が思い浮かんでいたが、夫の言葉で消えた。
学校で働いていた頃、足の裏が痛いと思い上履きの底を見ると画鋲が刺さっていたことか゜あった。
子供の頃には、裸足で遊んでいてガラス片を踏んだことが何度もあった。
そう言えば、「エースをねらえ」では、主人公の上履きに画鋲が入れられるという苛めがあった。
尖った物を踏むとかなり痛いし怪我もする。
そう。ビスはタイヤに突き刺さるくらいに鋭い。踏むと怪我をする。そんな危ない物が道路に落ちている。
・・・わたむし(妻)